「 梅 」と聞いて、どんな梅を想像しますか?
こんちには!栄養士のKANAです。
「梅」と聞いて想像するのは、真っ赤で食べると酸っぱい梅干しや、青く実が固い青梅などでしょうか。
そんな梅ですが、梅には様々な栄養が含まれており、その栄養から、たくさんの健康効果が期待されています。
その豊富な健康効果から日本では、昔から健康食材の一つとして親しまれています。
今回は梅に含まれている栄養やその健康効果、一日の適正量やオススメの食べ方などをご紹介します。
そもそも、梅とは?
梅はバラ科サクラ属の落葉高木、及び果実を指します。
同じ仲間には、りんご、梨、あんずなどがあります。
梅は果物なんですね!
また梅には、観賞用の梅「観梅」と、食用の梅「実梅」と種類が分かれています。
「観梅」の見ごろは2月~3月上旬に対して、「実梅」の旬は5月下旬~7月頃と時期も少しずれています。
5月下旬からとれる実梅は「青梅」と言われるもので、実が熟す前の青色の未熟な状態のことをいい、一般的には、この青梅から梅干しを作ったり、梅酒を作ったりします。
梅の産地
梅と言えば、どこの都道府県が収穫量1位でしょうか?
これは有名ですねよ!収穫量1位は和歌山県!
正解です!
では、2位、3位はどこでしょうか??
えっっと……果物だから山形県!山梨県!
2020(令和2)年産の梅の収穫量は全国で約7万1100トンです。
そのうち、全国1位ではある和歌山県の収穫量は4万1300トン(58%)、2位は群馬県5190トン、3位は福井県1500トンとなっております。
和歌山県の梅の収穫量は全国のおよそ6割を占めているんですね!すごい!
梅の主な栄養素
では、そんな梅ですが、主にどんな栄養素が含まれているでしょうか。
①カリウム
カリウムはミネラルの一種であり、細胞内液の浸透圧の調整や筋肉の収縮、神経伝達をサポートするなどの働きがあります。
また余分なナトリウムを排出する役割を持つので、血圧を正常に保つ効果があると言われています。
カリウムを豊富に含む食品として、野菜類、果物類、芋類、海藻類があります。
②鉄
鉄もカリウム同様に、ミネラルの一種です。
体内の鉄はおよそ70%が赤血球のヘモグロビンに存在し、生命の維持に欠かせない大切な役割を持っています。この鉄のことを機能鉄と言います。
残りの30%は貯蔵鉄と言い、肝臓や脾臓、筋肉などにストック(貯蔵)されています。
鉄が不足すると、赤血球の中のヘモグロビンが減って、赤血球の数が減るため、酸素の供給が十分にできない状態となります。
これを「鉄欠乏性貧血」と言います。
貧血には、鉄欠乏性貧血の他にも、再生不良性貧血や溶血性貧血など様々な貧血がありますが、日本では「鉄欠乏性貧血」が最も多いと言われています。
鉄を豊富に含む食品として、鶏や豚のレバー、ほうれん草や豆類があります。
③ビタミンE
ビタミンEは脂溶性ビタミンの一つで、強い抗酸化作用を持つビタミンでもあります。
その強い抗酸化作用によって、体内の活性酸素を取り除き、体内の脂質の酸化を防ぐ効果があります。
他にも、動脈硬化や血栓の予防、LDLコレステロールの減少など生活習慣病の予防に繋げることができます。
ビタミンEを豊富に含む食品として、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類があります。
④クエン酸
クエン酸は、野菜や果物に含まれる「酸味」の成分の一つです。
レモンやオレンジなどを食べると酸っぱいと感じますよね。
これがクエン酸です。
また、クエン酸は水に溶けやすく熱にも強い性質を持つことから、清涼飲料水やジャムなどの酸味料としてもよく使われています。
梅の健康効果
梅には様々な栄養素が含まれていることがわかりました。
そんな梅を食べることによって、体にどのような健康効果があるのかみていきましょう。
①疲労回復
梅には、疲労回復効果があるのはご存じでしょうか?
梅の主な栄養素に、クエン酸がありましたね。
このクエン酸には、エネルギーの元を作り出す回路を動かす作用を持つことから、疲労回復効果を期待することができます。
②食欲増進
クエン酸の特徴でもある、酸味成分は唾液の分泌を促すことから、食欲増進作用があると言われています。
酸っぱいものを見たり、想像すると唾液が分泌されますよね!
③カルシウムの吸収を良くする
こちらもクエン酸によって、効果が得られるものです!
クエン酸などの有機酸には、カルシウムの吸収を促進する効果があります。
カルシウムの吸収が促進されることで、骨粗しょう症を予防することができます。
もともとカルシウムの吸収率は低いです。
なので、クエン酸が含まれる梅と、カルシウムが含まれる食材を食べることで、どちらの栄養も効率よく摂取することができますよ。
④胃腸の調子を整える
梅には胃液や消化酵素の分泌を高めて消化吸収を助ける働きがあることから、胃腸の調子を整えてくれる働きがあります。
食欲がない時や、食後の胃痛などの症状があるときに効果的です。
⑤食中毒防止
梅干しは食中毒を予防すると聞いたことありませんか?
梅に含まれるクエン酸には、食中毒の元となる細菌の増殖を抑える働きがあります。
また、梅干しにする際の食塩も食中毒予防に効果的です。
白いご飯に梅干しをのせた日の丸弁当は、食中毒を予防しているんです!
食べ過ぎてもダメ。その理由は
前の章で、梅干しは食中毒に効果的と話をしました。
また、疲労回復効果や、食欲増進効果もあるので、常に食べていたいくらいですよね!
でも食べ過ぎてもダメです。
特に梅を梅干しに加工した場合です!
梅干しは体にとって、いいものじゃないの?
体にいい反面、気を付けなければならないこともあります。
それは梅干しに含まれる塩分です。
確かに梅は酸っぱいけど、これはクエン酸の他に塩も使っているからなの?
梅干しには、大きく分けて、食塩のみで作る「梅干し(塩漬)」と、調味液に漬けてから作られる「梅干し(調味漬)」の2種類があります。
どちらも塩を使用していますが、食塩のみで作る「梅干し(塩漬)」は多くの食塩を使用しています。
ここで話はそれますが、日本人の一日の食塩摂取量の上限をご存じでしょうか?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年)」によると
成人男性…7.5g未満
成人女性…6.5g未満
と定められています。
では、スーパーなどで見かける一般的な梅干しの塩分はどのくらいでしょうか?
下の写真の梅干しです。梅干し一粒17gと仮定して、大きさは、大さじスプーンに梅干しが一つ収まる感じをイメージをしてください。
日本食品標準成分表を参考にすると、
食塩相当量は
・塩漬け………3.1g
・調味付け……1.3g
であることが分かります。
仮に塩漬けの梅干しを一日に2個食べると、6.2gです。
女性の場合、1日の食塩摂取量の上限は6.5gですので、梅干し2個で1日の食塩摂取量となってしまいます。
食塩は、梅干し以外にも様々な食品に含まれているので、疲労回復、食欲増進にいいからと言って、何個も食べると簡単に1日の食塩摂取量に到達してしまうので、気を付けましょう。
食塩摂取量を超えた量を食べることの何がいけないの?
厚生労働省によると、
日本人のナトリウム摂取量は、食塩摂取量に依存し、その摂取レベルは高く、通常の食生活では不足や欠乏の可能性はほとんどない。ナトリウムを食事摂取基準に含める意味は、むしろ、過剰摂取による生活習慣病の発症及び重症化を予防することにある。この観点から、後述するように目標量を設定した
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書>
この文章に出てくるナトリウムとは、食塩のことです。
つまり、塩分を摂りすぎると高血圧症などの生活習慣病になる恐れがあるので、気を付けましょうということ。
食塩摂取量はその目安として、1日これくらいまでにしましょうと定められたのです。
梅干しも体に良い効果があるからと言って食べ過ぎると逆に生活習慣病になってしまうかもしれないってことですね!気を付けます!
食塩が含まれている食品は本当にたくさんあります。
仮に梅干しを1日2~3個食べる人は、1日1個までにする。
1日1個を毎日食べる人は、塩漬けタイプの梅ではなく、調味漬けの梅干しや減塩タイプの梅干しにするなど、工夫をしてみましょう。
青梅には注意!
「青梅」はご存じですか?
わかります!梅干しになる前の青い梅のことですね!
はい。そうです。
実は青梅には、青酸配糖体の一種である「アミグダリン」が含まれています。
青酸配糖体?アミグダリン?なんのこと?
青酸配糖体とは、青酸と糖が結合したもので、その一種にアミグダリンという物質があります。
このアミグダリンは未熟な青梅の果肉や種に含まれていて、体内に入ると体内の酵素によって、シアン化水素を発生させます。
このシアン化水素が有毒なもので、人が大量に摂取すると中毒症状を引き起こす危険性があり、最悪の場合死に至ることもあります。
ですので、未熟な青梅をそのまま食べたりすることは絶対にしないでください。
一個や少量なら大丈夫など、言われていますが、木に実ったばかりの青梅にはアミグダリンが豊富に含まれているので危険です。
そのままの生の青梅を食べることはしないでくださいね。
栄養士的!オススメ!梅の食べ方
では、最後に私のオススメの梅の食べ方をご紹介します!
①梅干し
これは王道というか、当たり前というか、梅と言えば梅干しですよね!
シンプルにおにぎりの具材にしても良し、おかゆやパスタ、あえ物の材料にしても、いいアクセントになるのではないでしょうか。
味がしっかりとつくので、他の調味料はいれないようにしてください。
②梅湯
これは、梅干しをお湯の入ったコップにいれて少しつぶして飲むものです。
お湯なので、体にも優しく、胃痛を和らげる効果もあります。
③梅シロップ
青梅と氷砂糖で簡単にできる梅シロップ。
出来上がったシロップは、水やソーダで割って飲んだり、かき氷のシロップとして使うのも良いです。
④青梅の浅漬け
塩、唐辛子、昆布などと混ぜ合わせ、7~10日間ほど漬けて完成。
浅漬けと言っても、すぐ食べれるわけではないです。
青梅を生で食べることは食中毒の原因と前の章で話をしました。
青梅は、漬けたり、加熱したりすることで、アミグダリンが分解されて、安定な物質になるので青梅のままでも食べれるようになります。
最後に
梅干しや梅シロップなど、調理次第で様々な料理に変身する梅。
また色々な健康効果も期待されているため、普段食べることがない人はこれを機に普段の食事に少しだけ取り入れてみるのは、いかがでしょうか?
6月は青梅が旬の時期です。
旬のものは栄養が豊富です。
もちろん市販のものでもOK!余裕のある方は、色々な料理に変身させて、梅仕事を楽しんでみませんか。
コメント